[キット・モジュール]
ミリ波5G対応アップ・ダウン・コンバータ MZ-mmCon1
$6\mathrm{GHz}$以下のベースバンド⇔$27\mathrm{G}~43\mathrm{GHz}$の$I/Q$変復調システム
- 定価:400,000円(税抜)
- 型番:MZ-mmCon1
- 設計・開発:加藤 隆志(株式会社ラジアン)
- 企画:ZEPエンジニアリング
- メーカ名:マルツエレック
- マニュアル(全21頁)
- アプリケーション・ソフトウェアほか
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ミリ波5G対応アップ・ダウン・コンバータ MZ-mmCon1の概要
1台でミリ波無線通信を体験できるスタータキット
写真1に示すのは,ミリ波通信実験用スタータキット ”MZ-mmCon1”(開発:ラジアン)です.すでに試作機が,ミリ波通信の実験用送受信システムに利用されています.
本スタータキットは,$27\mathrm{G}~43\mathrm{GHz}$を$5\mathrm{M}~6\mathrm{GHz}$のベースバンド信号に周波数ダウンしたり,逆に,$5\mathrm{M}~6\mathrm{GHz}$のベースバンド信号を$27\mathrm{G}~43\mathrm{GHz}$)に周波数アップしたりできます(図1).パソコンとミリ波用アンテナ,そしてベースバンド信号処理デバイスがあれば,$100\mathrm{Mbps}$以上の超広帯域無線通信も体験することができます.
5Gには次の3つの周波数バンドが割り当てられています.
- $3.6\mathrm{G}~4.1\mathrm{GHz}$(サブ$6\mathrm{GHz}$帯)
- $4.5\mathrm{G}~5.0\mathrm{GHz}$(サブ$6\mathrm{GHz}$帯)
- $26.6\mathrm{G}~29.5\mathrm{GHz}$(ミリ波帯)
5Gには従来の4Gにはない2つの特徴があります.
1つは,帯域が$40\mathrm{MHz}$から$100\mathrm{MHz}$に広くなったことです.ミリ波帯を利用する5G(ミリ波5G)では,$400\mathrm{MHz}$もの帯域が割り当てられています.これだけの帯域があれば,4K/8K映像の高速撮影映像システムや臨場感あふれるVRシステムを実現できます.
もう1つ注目すべき特徴があります.NTTやKDDIなどのいわゆるキャリア以外の自営企業が独自に通信回線を構築できる「ローカル5G用バンド」が割り当てられた点です.現在利用できる周波数バンドは一部ですが,今後,工場や農場などでIT化を進めたい機関や企業の実証実験が増えてくることでしょう.
スペック
- 送受信周波数:$27.2\mathrm{G}~42.995\mathrm{GHz}$
- 送受信用コネクタ:$2.92\mathrm{mm}$
- 送信出力:$+10~-40\mathrm{dBm}$
- 送信変換ゲイン:$+23\mathrm{dB}$
- 受信入力:$-9\mathrm{dBm}$以下
- 受信変換ゲイン:$17\mathrm{dB}$
- IF帯域:$1\mathrm{G}~6\mathrm{GHz}$
- ベースバンド帯域:$5\mathrm{M}~6\mathrm{GHz}$
- PLL周波数範囲:$6.8\mathrm{G}~10.75\mathrm{GHz}$
- DC電源入力:$6\mathrm{V},1.5\mathrm{A}$
- 基板サイズ:$W=100\mathrm{mm},D=74\mathrm{mm},H=1.6\mathrm{mm}$
使用例
キット単体で送受信
MZ-mmCon1は,A-DコンバータとD-Aコンバータを内蔵するSTM32マイコンを搭載しているため,スタンドアロンでも送受信できます(図2).ただし,ベースバンド信号の帯域は$100\mathrm{kHz}$以下に限られます.
D-Aコンバータでベースバンド信号($100\mathrm{kHz}$)を出力し,これをミリ波周波数にアップしてアンテナからRF信号を送信します.この信号を別のアンテナで受信したら周波数ダウンし,A-Dコンバータでベースバンド信号を再生します.
16MHz以下のリアルタイム狭帯域通信の実験
図3に示すのは,帯域$100\mathrm{k}~16\mathrm{MHz}$のアナログ信号をフルディジタル信号処理できるSDRトランシーバ MZ-SDRBlockHF2を使ってベースバンド信号の生成と変調を行う接続例です.MZ-SDRBlockHF2は,FPGA,高速A-Dコンバータ,D-Aコンバータを搭載したSDRボードです.
FPGAには,信号処理に必要な回路ブロックが作り込まれていて,パソコン上の専用アプリケーションを利用して,接続やパラメータを設定するだけで,カスタムなSDR送受信機を構成できます.FPGAコンフィグレーションは不要です.
100MHz超の広帯域通信の実験
図4に示すのは,$100\mathrm{MHz}$以上の帯域の$I/Q$ベースバンド信号を生成したり復調したりできるECLIPSE Z7(Digilent製)とMZ-mmCon1の組み合わせです.ECLIPSE Z7は,ケース,A-Dコンバータ,D-Aコンバータボード込みで10万円以下です.Linuxも走るARM Dual Cortex-A9を内蔵するZynq-7020を搭載しています.
6GSPSの超広帯域通信の実験
図5に示すのは,サンプリング周波数が$6\mathrm{GSPS}$のA-DコンバータとD-Aコンバータを内蔵するFPGA“RFSoC(ザイリンクス)”を搭載したSDRユニット SIMT6000(ADR Communication製)と組み合わせた例です.
写真2は,多チャネル同時送受信が必要なローカル5G基地局を想定して,リアルタイム動画を$28\mathrm{GHz}$を使って伝送したときの実験のようすです.
詳しい使い方がわかる技術解説記事とマニュアル
- 5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室[Vol.1 ミリ波の性質と広帯域通信の実験環境]
- 5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室[Vol.2 反射の起こらない線路を作る]
- 5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室[Vol.3 電磁波の漏れが少ない伝送線路]
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[動画セミナ] ローカル5G/6G開発の実際と始め方
(a)東京都立大学 ローカル5G環境の概要と活用の方向性 | (b)ローカル5Gおよび6Gに向けたMIMOハードウェア装置と評価法 | (c)ローカル5G基地局のハードウェア開発 |
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