周波数精度 10の-10乗！GPS×PLLシンセサイザ

I/Q無線機の同期送受信に

GPSの1PPSのジッタをPLLで除去


図1　通常，精度10の-10乗という超高精度シンセサイザ，ルビジウム発振器のような高級な基準源で達成されますが，近年，GPSモジュールとPLL ICを組み合わせることで，より手軽に実現可能となっています画像クリックで動画を見る．または記事を読む．詳細は［VOD/KIT］GPSクロック・ジッタ・クリーナ

図1　通常，精度10の-10乗という超高精度シンセサイザ，ルビジウム発振器のような高級な基準源で達成されますが，近年，GPSモジュールとPLL ICを組み合わせることで，より手軽に実現可能となっています画像クリックで動画を見る．または記事を読む．詳細は［VOD/KIT］GPSクロック・ジッタ・クリーナ

周波数精度は，通信システムや計測機器において非常に重要な要素です．

10$^{-10}$という高い周波数精度は，高価なルビジウム発振器のような高級な基準源で達成されます．近年ではGPSモジュールとPLL（Phase-Locked Loop）シンセサイザを組み合わせることで，より手軽に実現可能となっています．

GPS衛星は，非常に高精度なクロック源を搭載しており，その1つがルビジウム基準源です．

これにより，GPSモジュールは1秒間隔の非常に精度の高いパルス（1PPS信号）を提供します．この1PPS信号は，時間同期や周波数基準として多くのシステムで利用されていますが，ジッタ（信号の揺れ）を除去しなければ高精度なアプリケーションには向きません．

PLLシンセサイザは，入力された信号の位相と周波数を基準に，新たな出力信号を生成するための回路です．

GPSからの1PPS信号は高精度ですが，ジッタがあるため，そのまま利用することはできません．そこで，PLLを使ってこの信号を安定化させます．PLLのループ・フィルタを適切に設計することで，低いジッタをもつ信号を生成できます．

$10\text{MHz}$の基準信号を得るために，GPSの1PPS信号をPLLで安定化させ，そこから周波数を増倍させると，非常に安定した高精度なクロックを生成できます．PLLのループ・フィルタ帯域を狭くすることで，ジッタを除去し，ループ・フィルタ（キャリア対ノイズ比）を向上させることができます．

I/Q無線機では，送信と受信が同時に行われるため，高精度な周波数同期が必要です．

GPSとPLLシンセサイザを組み合わせることで，I/Q無線機の送受信の同期が可能となり，通信の信頼性が向上します．特に，ディジタル通信では，キャリア周波数の正確さが信号の復元に直結するため，このような高精度クロックが不可欠です．

ループ・フィルタとは，キャリア信号とノイズの比率を示す指標です．高いループ・フィルタは，ノイズの影響を受けにくい良好な信号品質を示します．特に周波数が高くなるほど，ループ・フィルタが低下しやすいため，PLLシンセサイザを使用してループ・フィルタを向上させることが重要です．

通信システムや測定システムで高精度な信号を扱う際には，ループ・フィルタを改善するための適切な設計が必要です．これにより，無線通信の信号劣化を防ぎ，信頼性の高い通信を実現します．〈著：ZEPマガジン〉