アンテナ・アレイのビーム・パターンを可視化


電磁界シミュレータ入門CST Stduio編

アンテナ・アレイの位相とビーム形成

図1 アンテナ・アレイのビーム・パターンは,各アンテナ素子の位相と振幅によって決まる.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[著]川口 正
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アンテナ・アレイのビーム・パターンは,各アンテナ素子の位相と振幅によって決まります.10×10アレイアンテナでは,個々の素子に設定した位相が全体の電界分布に影響します.CST Studio Suiteなどの電磁界シミュレータを用いると,素子ごとの位相変化を反映した3D遠方界のパターンを可視化できます.

アレイ全体の位相情報を計算後,特定方向にビームが形成されるようすを確認できます.単純な直感的表示では方向性の把握は可能ですが,正確なビーム幅やサイド・ローブの強度は確認できません.設計段階ではこれらの定量的評価が不可欠です.

遠方界のプロットによる評価

遠方界(ファー・フィールド)の表示では,アレイのメイン・ビーム方向とサイド・ローブの分布を確認できます.計算結果を2Dまたは3Dプロットすることで,ビーム指向性や指向角度の偏りを評価します.特に,θ方向およびφ方向に対して30°程度までの傾斜が生じる場合があります.

  1. 各アンテナ素子の位相を設定
  2. シミュレータで近傍電界および遠方界を計算
  3. 3D遠方界でメイン・ビーム方向を確認
  4. 2D遠方界(Phi=90)でサイド・ローブを評価
  5. ビーム幅や指向角の偏りを解析

可視化の意義と設計上の留意点

アレイ・アンテナのパターン可視化は,設計意図とおりにビームが形成されているか確認するために重要です.上から見た2D表示では,アレイ中心のずれや指向性の偏りが直感的に把握できます.これにより,アンテナ素子間の位相調整や配置の最適化に役立ちます.

シミュレーションを通じて得られる情報は,設計段階での誤差修正やビーム指向性の最適化に直結します.単に絵としての理解にとどまらず,サイド・ローブの強度やビーム幅を数値的に把握することが設計の精度向上に貢献します.

〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD]Pythonで学ぶ マクスウェル方程式 【電場編】+【磁場編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD]Before After!ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD/KIT]3GHzネットアナ付き!RF回路シミュレーション&設計・測定入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
  6. [KIT]ミリ波5G対応アップ・ダウン・コンバータ,ZEPエンジニアリング株式会社.
  7. 5G時代の先進ミリ波ディジタル無線実験室 [Vol.8 初めての28GHzミリ波伝搬実験],ZEPエンジニアリング株式会社.