商品タイプで探す

Designers' Tips

2026年01月23日号

技術で探す

著者/講師で探す

Access:28

忘れたころに見舞われる「発振」の原因と対策

実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計

混合栓の温度調整業務では,温度計の数値を基に温度を上げたり下げたりする役割を担い,OPアンプの特性を理解することで,より効率的な制御が可能となる 〈著:善養寺 薫〉 出典:[VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 初歩の電子回路設計
画像クリックで動画を見る.または記事を読む

発振が起こる原因の理解

電子回路設計において,OPアンプ回路の発振は厄介な問題の1つです.発振とは,回路が意図しない周期的な信号を自己生成してしまう現象です.これは回路の安定性が損なわれた状態を示しています.発振の原因は多岐にわたりますが,特に注意すべきは回路の遅延や余計な寄生要素の存在です.

例えば,OPアンプの出力から入力に戻る経路にわずかなキャパシタ成分が含まれると,信号の位相に遅れが生じます.この遅れが大きくなると,フィードバック信号の位相が180°反転し,結果として正帰還の条件を満たしてしまいます.これにより,出力が大きく変動し,発振が発生します.実際の基板設計では,プリント基板のパターンや部品の配置がわずかな寄生容量やインダクタンスを生み,目には見えないキャパシタやインダクタのような効果をもたらします.

位相補償による発振対策

発振を防ぐための代表的な手法が位相補償です.これはOPアンプの入力と出力の間に適切な容量を挿入し,回路の周波数特性を調整するものです.位相補償によって回路の応答速度は遅くなりますが,フィードバックの位相遅れを抑制し,安定した動作を実現します.

位相補償の容量が小さすぎると,十分な遅延が得られず発振のリスクが残ります.逆に容量が大きすぎると応答が遅れすぎてしまい,回路の性能が低下します.実際の設計ではシミュレーションや試作を繰り返し,最適な容量値を探し出します.これは単に理論だけで決められるものではなく,経験や実測データが重要になります.

発振の例え話と回路設計のポイント

発振を理解するために,お湯と水を混ぜて、温度や量を調整して出すための給水器具「混合栓」の温度調整の例が役立ちます.温度計+と温度計-が示す温度差を元に温度を上下させる作業員がいます.温度調整に時間差があると,目標温度に近づく過程で温度が行き過ぎたり戻ったりを繰り返し,不安定な状態になります.これはOPアンプ回路におけるフィードバックの遅延と類似しています.

この例では,温度計+と温度計-がほぼ同じ値を示す「イマジナリーショート」の状態が理想です.回路設計では,この状態を安定して保つために,余計な遅延を減らし,適切な位相補償を行うことが重要です.そうすることで,出力が目標に対して安定し,発振を防げます.

  1. 回路の寄生容量やインダクタンスに注意する
  2. 位相補償キャパシタを適切に選定し,応答速度と安定性のバランスを取る
  3. シミュレーションと試作を繰り返し,実環境での動作を確認する

〈ZEPマガジン〉

動画を見る,または記事を読む

参考文献

  1. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 電源・アナログ回路入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD]動画で一緒にプリント基板開発 KiCad超入門【KiCad 6対応 完全マニュアル】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]動画で一緒にプリント基板開発 KiCad超入門【KiCad 6対応 プロの仕上げ技101】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD/KIT]すぐ動く!BM83 Bluetoothスタータキット,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD/Pi KIT]MATLAB/Simulink×ラズパイで学ぶロボット制御入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  6. [VOD/KIT]MATLAB/Simulink×ラズパイで学ぶロボット制御入門,ZEPエンジニアリング株式会社.

Translate »