第$n$次高調波の振幅は基本波の$1/n$倍
高調波の抑制には遷移時間の延長が効く
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| 図 高調波の振幅は基本波の1/n倍である.遷移時間を延長することで高調波を効果的に抑制できる 〈著:櫻井 秋久〉 |
| 【出典】:[Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200 |
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クロック信号の高調波成分と基本波の関係
ディジタル回路におけるクロック信号は一般に方形波に近い波形をもちます.理想的な方形波は立ち上がりと立ち下がりが瞬時であるため,多くの高調波成分を含みます.基本波とはクロック信号の基本周波数成分を指し,その振幅は信号の振幅に依存します.
具体的には,振幅が3.3V$_\mathrm{P-P}$の方形波クロック信号の場合,基本波の振幅は信号振幅の約$2/\pi$倍,つまり約2.1Vになります.第$n$次高調波の振幅は基本波の$1/n$倍になるため,第3次高調波は基本波の1/3,第5次高調波は1/5の振幅をもちます.この関係は高調波の振幅が基本波に対し逆数で減少するという特徴を示しています.
高調波抑制のための遷移時間の延長効果
方形波の理想的な立ち上がり・立ち下がり時間はゼロですが,実際の信号波形では遷移時間が存在します.この遷移時間を延長することで高調波成分を効果的に抑制できます.立ち上がり・立ち下がりが急であれば高次の高調波成分が強くなり,EMI(電磁干渉)や信号品質の劣化に繋がる場合があります.
遷移時間を長くすると,高調波の振幅は$1/n^2$の割合で減少します.これは高調波成分の包絡線が基本波の$1/n$倍よりも急激に低下することを意味します.例えば,クロック周波数の10倍以上の高調波成分を低減したい場合,遷移時間を延長することが特に効果的です.遷移時間の調整はロジック信号の設計段階で検討すべき重要なポイントです.
高調波のスペクトルと波形の関係
時間領域での波形は周波数領域でのスペクトルに変換できます.方形波は基本波と奇数次の高調波成分の和で構成されており,これらの高調波成分が信号の急峻な立ち上がり・立ち下がりを作り出しています.波形の遷移部分が滑らかになると高調波成分が減少し,スペクトルの高周波成分が抑えられます.
また,信号にリンギングが発生すると,その周波数に近い特定の高調波成分が強調されることがあるため注意が必要です.リンギングの抑制もEMI低減のためには重要な課題です.
- 方形波の基本波振幅は信号振幅の約$2/\pi$倍
- 第$n$次高調波の振幅は基本波の$1/n$倍
- 遷移時間の延長により高調波振幅は$1/n^2$の割合で減少
- 遷移時間の調整は高調波抑制とEMI低減に有効
- リンギングにより特定高調波成分が強調される場合がある
参考文献
- [PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [Webinar]プリント基板と電子回路のEMC 実践ノウハウ100,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]Gbps超 高速伝送基板の設計ノウハウ&評価技術,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]3GHzネットアナ付き!RF回路シミュレーション&設計・測定入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]3GHzネットアナ付き!初めてのIoT向け基板アンテナ設計,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]Pythonで学ぶ マクスウェル方程式 【電場編】+【磁場編】,ZEPエンジニアリング株式会社.













