抵抗とOPアンプ自体から出る:増幅回路の3つのノイズ源
実験キットとパソコンで学ぶアナログ電子回路教室
増幅回路におけるノイズの基本
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| 図1 増幅回路におけるノイズ源は大きく分けて3つある.(1)抵抗器が出す熱ノイズ(2)OPアンプが出す電圧性ノイズ(4)OPアンプが出す電流性ノイズ.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.詳細は[VOD/Full KIT/data]実験キットとパソコンで学ぶAnalog Devicesアナログ電子回路教室 |
OPアンプ回路では,信号に影響を与えるノイズが存在します.ノイズは回路の設計や動作に影響を及ぼすため,その理解が重要です.増幅回路におけるノイズ源は大きく分けて3つあります.
抵抗から生じる熱ノイズ
抵抗は温度に応じて熱運動を起こします.この熱運動によって抵抗に微小な電圧が生じます.抵抗値$R$と絶対温度$T$を用いると,熱ノイズは4kTRのルートで表され,1Hzあたりのノイズ密度として扱います.
OPアンプ回路では,たとえば1kΩの抵抗では4V程度の熱ノイズが発生することが指標として知られています.これは抵抗値や温度に依存するため,設計時には抵抗選定と温度条件を考慮する必要があります.
OPアンプからの電圧性ノイズ
OPアンプ自体からもノイズが発生します.入力端子に直列で接続される電圧源としてモデル化される電圧性ノイズがあり,数√Hz程度のオーダで発生します.これは回路全体の信号に加算され,増幅されることがあります.
電圧性ノイズは設計によって抑制することが可能です.例えば適切なフィルタ回路や,抵抗値の調整により,出力信号に及ぼす影響を最小化できます.
OPアンプからの電流性ノイズ
OPアンプには入力端子から流れる微小な電流によるノイズも存在します.これを電流性ノイズと呼び,入力抵抗と相互作用することで出力に影響を与えます.
以上のように,
- 抵抗の熱ノイズ:抵抗$R$と温度$T$に依存し,4kTRのルートで表される
- 電圧性ノイズ:OPアンプ入力端子に直列に接続される電圧源としてモデル化される
- 電流性ノイズ:OPアンプ入力端子を流れる微小電流に起因するノイズ
これら3つのノイズ源を理解することで,回路設計時にノイズ対策を施すことが可能です.シミュレーションや実験キットを用いてノイズの影響を確認することが,安定した増幅回路設計への近道です.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 初歩の電子回路設計,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 電源・アナログ回路入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.