増幅回路の誤差:オフセット電圧のモデリング


実験キットとパソコンで学ぶアナログ電子回路教室

オフセット電圧の定量的評価

図1 OPアンプの増幅回路におけるオフセット電圧は,入力端子に印加された電圧差がゼロであっても,出力に現れる誤差のこと.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.詳細は[VOD/Full KIT/data]実験キットとパソコンで学ぶAnalog Devicesアナログ電子回路教室

OPアンプの増幅回路におけるオフセット電圧は,入力端子に印加された電圧差がゼロであっても,出力に現れる誤差のことです.非反転入力端子と反転入力端子の間の電圧差が同じであれば,理想的には出力は0になりますが,実際の回路ではさまざまな原因によって誤差が生じます.

この誤差が出力に反映される際の電圧をオフセット電圧と呼びます.オフセット電圧は回路内の複数の要因によって発生しますが,基本的には入力差動回路による誤作用が主要な原因です.

オフセット電圧のモデリング方法

回路の設計や解析において,オフセット電圧は入力端子に直接接続される電圧としてモデリングされます.これを入力オフセット電圧と呼びます.モデリングにより,回路内の複雑な誤差発生要因を単純化して理解することが可能です.

入力オフセット電圧は,回路の増幅率に応じて出力に反映されます.このとき,回路に含まれる抵抗やそのほかの部品がオフセットの影響を決定する要素になります.

ノイズとオフセット電圧の関係

回路にはオフセット電圧以外にノイズも存在します.ノイズも入力オフセット電圧と同様に出力に現れ,増幅率に応じて増幅されます.このことから,オフセット電圧とノイズを組み合わせて解析することで,回路の出力誤差を正確に予測できます.

  1. 入力オフセット電圧:入力端子に印加される電圧誤差
  2. 増幅率との関係:回路の抵抗値や構成によって出力に反映される倍率が決まる
  3. ノイズ・ゲイン:オフセット電圧と同じ位置にモデリングされるノイズの出力倍率

オフセット電圧の理解は,精密なアナログ回路設計において非常に重要です.入力端子にモデリングされたオフセット電圧とノイズを考慮することで,実際の回路で生じる出力誤差を正確に予測することが可能です.

増幅回路の解析では,オフセット電圧とノイズの影響を分離して理解することが望ましいです.これにより,設計段階での誤差補正や部品選定の方針を決定できます.

〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 初歩の電子回路設計,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 電源・アナログ回路入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.