高域でのゲイン低下に注意!OPアンプ増幅回路の周波数特性


実験キットとパソコンで学ぶアナログ電子回路教室

OPアンプ増幅回路の周波数特性とは

図1 OPアンプ増幅回路は,無限に高い周波数まで目的としたゲインで動作するわけではない.低い周波数では,抵抗で設定したゲインとおりの特性が得られるが,周波数が上がるにつれてゲインが低下し始める.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.詳細は[VOD/Full KIT/data]実験キットとパソコンで学ぶ Analog Devicesアナログ電子回路教室

OPアンプ増幅回路には周波数特性があります.無限に高い周波数まで目的としたゲインで動作するわけではありません.低い周波数では,抵抗で設定したゲインとおりの特性が得られますが,周波数が上がるにつれてゲインが低下し始めます.

ゲインが低下する周波数は一般に-3デシベル点として定義されます.これは信号の振幅が√1/2になる点で,カットオフ周波数とも呼ばれます.この周波数を理解することで,回路の安定性や高周波での応答を評価することが可能です.

ゲイン低下の原因と影響

OPアンプ単体の増幅率をオープン・ループ・ゲイン$A_{OL}$と呼びます.この増幅率を超える入力信号や設定ゲインでは,回路は期待とおりに動作せず,ゲイン低下が顕著になります.高周波領域でのゲイン低下は,回路全体の応答速度や信号忠実度に影響を与えます.

影響を整理すると以下のとおりです:

  1. 入力信号の高周波成分が正確に増幅されない
  2. 信号の位相遅れが生じ,フィルタや制御回路で問題が起こる
  3. 設定ゲインよりも低くなるため,信号の正確な再現が難しくなる

設計時の注意点

回路設計の際は,使用するOPアンプの周波数特性と設定ゲインの関係を確認する必要があります.RFや入力抵抗値を大きくすると,ゲイン低下が始まる周波数が低くなります.これにより高周波領域での信号再現性が低下するため,目的の周波数帯域で十分なゲインが得られるかを評価することが重要です.

実験キットやPCシミュレーションを用いて,周波数特性を確認することも効果的です.こうすることで,回路の性能を定量的に把握でき,設計の調整が容易になります.

〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 初歩の電子回路設計,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 電源・アナログ回路入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.