ゲイン1倍のアンプ「ボルテージ・フォロア」の使い道


実験キットとパソコンで学ぶアナログ電子回路教室

ボルテージ・フォロアの基本構造

図1 ゲイン1倍のアンプ「ボルテージ・フォロワ」は,高い信号源抵抗をもつセンサなどの電圧信号を低インピーダンスの負荷に正確に伝えることができる.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.詳細は[VOD/Full KIT/data]実験キットとパソコンで学ぶ Analog Devicesアナログ電子回路教室

ボルテージ・フォロアはゲイン1倍のアンプ回路です.入力電圧$V_{in}$をそのまま出力に伝える回路構成で,増幅を行わないためシンプルに見えます.日本語では「電圧を追いかける回路」と表現されることがあります.出力は入力電圧に忠実であり,回路内で電圧の変化が起こらないように設計されています.

この回路は,高い信号源抵抗$R_s$をもつセンサなどの電圧信号を低インピーダンスの負荷に正確に伝えることができます.入力端子にほとんど電流が流れないため,信号源の電圧降下を抑制し,測定精度を維持することが可能です.

使用例と利点

ボルテージ・フォロアは次のような用途で利用されます.

  1. 高インピーダンス信号のバッファリング:センサの出力電圧を正確に伝える
  2. 負荷抵抗への信号伝達:出力側で大きな電流が必要な場合に入力信号を劣化させない
  3. 信号の整合:異なるインピーダンス間で信号を正しく受け渡す

これらの用途により,測定機器やオシロスコープへの接続,アナログ電子回路設計における基礎的なバッファ回路として活用できます.ゲイン1倍であるため回路はシンプルですが,信号忠実度を維持するという重要な役割をもっています.

実験キットでの学習

実験キットとパソコンを使用してボルテージ・フォロアの動作を確認できます.センサや信号源をキットに接続し,パソコンで電圧変化を観測することで,入力信号$V_{in}$が出力$V_{out}$に正確に反映されることを理解できます.これにより,理論上の動作だけでなく,実際の回路での信号伝達特性を体験できます.

ボルテージ・フォロアを使用すると,信号源抵抗による電圧降下を防ぎ,測定や後段回路の動作に影響を与えずに信号を伝えることが可能です.回路設計の初学者にとって,増幅作用がない回路でも重要な役割があることを理解するのに適しています.

〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 初歩の電子回路設計,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ 電源・アナログ回路入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.