ラズベリー・パイPicoマイコン スタートアップ・マニュアル

開発環境 MicroPythonとThonnyの準備からLED点灯まで


Webブラウザのダウンロード設定をする

「ラズベリー・パイPico」(以下「ラズパイPico」)を使うために,簡単な準備をしておきます.

ここで扱うパソコンのOSは,Windows10の64ビット版であるとします.また,Webブラウザは“Google Chrome”(グーグル・クローム)を使うものとします.他のOSやブラウザを使う場合は適宜読み替えてください.なお,これから先の作業ではパソコンをインターネットに接続する必要があります.

まずはGoogl Chromeを起動し,図1のように画面右上の“$\, \vdots \,$”ボタンをクリックしてメニューを開き,[設定]をクリックします.

図1 Google Chromeの設定画面を開く

図2のようにGoogle Chromeの設定画面が表示されたら,左側の一覧から「ダウンロード」をクリックします.ここで,「ダウンロード前に各ファイルの保存場所を確認する」のスイッチをONにしておきます.

また,「保存先」のパスを変更すればデフォルトの保存先を指定できます.図2のように「デスクトップ」に設定することをおすすめしますが,各自のお好みで結構です.

図2 「ダウンロード」の項目で「ダウロード前に各ファイルの保存場所を確認する」をONにする

“MicroPython”をマイコンにインストールする

MicroPythonのファームウェアをダウンロードする

“MicroPython”(マイクロパイソン)は,プログラミング言語Python(パイソン)で書かれたプログラムをマイコン上で動かすための仕組みです.ここでは,ラズパイPicoにMicroPythonをインストールします.

まずは“ラズパイPico用のMicroPythonのページ”のページにアクセスします.

図3に示す画面で“Raspberry Pi Pico”をクリックして,ファームウェアをダウンロードします.ファイルはデスクトップなどのわかりやすい場所に保存することをおすすめします.

図3 “Raspberry Pi Pico”のファームウェア(UF2ファイル)をクリックしてダウンロードする

ラズパイPicoをパソコンに接続する

ラズパイPicoにUSBケーブルを接続して写真1の状態にします.そして,ラズパイPicoの基板上にある“BOOTSEL”ボタン(写真2)を押しながら,USBケーブルをパソコンに接続します.

写真1 ラズパイPicoにUSBケーブルを接続する(まだパソコンには接続しない)
写真2 “BOOTSEL”ボタンを押しながらパソコンに接続する

“BOOTSEL”ボタンを押しながらパソコンとラズパイPicoを接続すると,ラズパイPicoはUSBメモリとして認識されて図4の画面が表示されます.もし自動的に図4の画面が表示されないときは,エクスプローラを開いて([Windowsキー] + [e] を押す)“RPI-RP2”という名前のUSBドライブを手動で開いてください.

図4 “BOOTSEL”ボタンを押しながら接続すると,ラズパイPicoはUSBメモリとして認識される 図5 先にダウンロードしておいたファームウェアをドラッグ&ドロップして書き込む

もし“BOOTSEL”ボタンを押さずにパソコンに接続してしまった場合は,いったんUSBケーブルを抜いて,“BOOTSEL”ボタンを押しながらもう一度接続しなおしてください.ラズパイPicoがパソコンに認識されない場合は,パソコン側のUSBポートの場所を変えてみてください.また,“BOOTSEL”ボタンを確実に押していることを確認してください.

ラズパイPicoにファームウェアを書き込む

問題なく図4の画面が表示されたら,先にダウンロードしておいたMicroPythonのファームウェア(図5)をラズパイPicoにドラッグ&ドロップして書き込みます.

ファームウェアの書き込みが完了すると,ラズパイPicoは自動的に再起動して通常動作モードに入ります.念のため,USBケーブルを抜いてからもう一度接続しておくことをおすすめします(今度は“BOOTSEL”ボタンを押さなくてよい).

これ以降の作業は,ラズパイPicoとパソコンを接続した状態で進めるものとします.

“Thonny”をインストールする

“Thonny”のインストーラをダウンロードする

“Thonny”(トニー)は,ラズパイPicoで実行するプログラムを作成するためのソフトウェアです(これを「開発環境」という).ここでは,パソコンにThonnyをインストールする手順と初期設定の方法を説明します.

まずは,ThonnyのダウンロードWebページにアクセスします.図6のように画面の右上の“Windows”をクリックして,Windows用のインストーラをダウンロードします.インストーラはデスクトップなどのわかりやすい場所に保存することをおすすめします.

図6 “Thonny”のWindows版インストーラをダウンロードする

“Thonny”をインストールする

ダウンロードしたインストーラ(図7)をダブルクリックして,インストーラを起動します.

最初に表示される図8の画面では [Next] をクリックします.

図7 インストーラをダブルクリックして起動する 図8 最初の画面では [Next] をクリックする

図9の画面では“I accept the agreement”を選択して [Next] をクリックします.

図10の画面では,Thonnyをインストールするディレクトリを選択します.今回はデフォルトのままで [Next] をクリックします.

図9 “I accept the agreement”を選択して [Next] をクリックする 図10 デフォルトのまま [Next] をクリックする

図11の画面では,デスクトップにThonnyのショートカット用のアイコンを作るか聞かれます.お好みでチェックを付けて [Next] をクリックします.

図12の画面で [Install] をクリックすればインストールが始まります.完了までしばらく待ちます.

図11 デスクトップにThonnyのショートカットを作りたければチェックを付ける 図12 [Install] をクリックする

インストールが完了するまで少し待ちます(図13).

インストールが完了すると図14の画面が表示されるので,[Finish] をクリックして終了します.

図13 インストールが完了するまで少し待つ 図14 [Finish] をクリックして終了

Thonnyを起動して設定を行う

Thonnyをインストールできたら,起動してみましょう.図15のようにWindowsスタート・メニューから[T] - [Thonny] - [Thonny] をクリックして,Thonnyを起動します.

はじめてThonnyを起動したときだけ,図16の画面が表示されます.“Language”の項目は「日本語」を選択し,“Initial Settings”の項目は“Standard”を選択して [Let's go!] ボタンをクリックします.

図15 Windowsスタート・メニューからThonnyを起動する 図16 “Language”の項目で「日本語」を選択する

Thonnyが起動すると,図17の画面が表示されます.

図17 Thonnyの起動画面

問題なくThonnyが起動したら,メニュー・バーから [ツール] - [Options...]をクリックして図18に示す“Thonny options”の画面を開きます.

ここで「インタプリタ」のタブを開き,「Thonnyはコードの実行にどのインタプリタまたはデバイスを使用すればよいですか?」という項目で“MicroPython (Raspberry Pi Pico)”を選択します.

図18 インタプリタの設定画面で“MicroPython (Raspberry Pi Pico)”を選択する

これでラズパイPicoおよびパソコン側の準備は完了です.

ラズパイPicoの緑色LEDを光らせてみる

ここから先の内容は,ラズパイPicoの動作確認となります.

Thonnyのソース・コード入力欄に,次のリスト1の内容を記述します.スペル・ミスをしないように気をつけてください.また,大文字・小文字の区別にも気をつけてください.

ソース・コードを書き終わった状態を図19に示します.ここで「再生マーク」のような緑色のボタン(“Run current script”ボタン)をクリックすると,プログラムが実行されます.

import machine

led = machine.Pin(25, machine.Pin.OUT)
led.value(1)

リスト1 緑色LEDを光らせるプログラム
図19 LEDを光らせるプログラムを入力して,実行ボタンをクリックする

はじめてソース・コードを実行するときは,図20のようにソース・コードの保存先を指定する画面が表示されます.ここでは [This computer] をクリックします.

図21の画面が表示されるので,適宜プログラム名と保存場所を指定して [保存] ボタンをクリックします.今回はデスクトップに“test.py”という名前で保存しました.

図20 [This computer] をクリックする 図21 ソース・コードの保存場所を適当にしてして保存する

ソース・コードを保存すると,ラズパイPico対してにPythonのスクリプトが転送されて,そのまま実行されます.写真3のようにラズパイPicoボード上の緑色LEDが光れば成功です.

写真3 ラズパイPicoボード上の緑色LEDが光れば成功

なお,リスト2のように“led.value(1)”だった箇所を“led.value(0)”に書き換えて実行すると緑色LEDが消えます.

import machine

led = machine.Pin(25, machine.Pin.OUT)
led.value(0)

リスト2 緑色LEDを光らせるプログラム

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