命令デコーダの役割と動き:実行回路用の制御信号作り
実体は大規模組み合わせ回路
命令デコーダの基本役割
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図1 命令デコーダはCPU内部で各命令を解析し,実行回路に必要な制御信号を生成する重要なブロック.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[著]圓山 宗智 詳細:[VOD]新人技術者のためのRISC-V CPU設計初めの一歩~C言語完全対応!HDLソース500行のミニCPUを一緒に作る~ |
命令デコーダはCPU内部で各命令を解析し,実行回路に必要な制御信号を生成する重要なブロックです.命令のフィールドであるオペコード,funct3,funct7などを読み取り,どの操作を行うか判定します.これにより,汎用レジスタの読み出しやALUの演算制御,メモリ・アクセスなどを正しく制御できます.
制御信号生成のしくみ
命令デコーダは大規模な組み合わせ回路として構成されます.各出力信号にはデフォルト値が設定され,命令ごとの条件に応じて必要な信号だけを変更します.この方法により,誤ってラッチが生成されることを防ぎ,回路の安定性を確保できます.制御信号生成の流れは次のとおりです.
- デフォルト値の設定:すべての制御信号を無効にして初期化
- 命令コードの解析:オペコード,funct3,funct7を組み合わせて命令を識別
- 必要な制御信号のアクティブ化:命令に応じて特定信号を有効化
EXステージにおける実行制御
EXステージでは,デコーダが生成した制御信号に従い,汎用レジスタからのデータ読み出しやALUによる演算,メモリ・アクセスの開始を行います.制御信号はbusXやbusYなどの内部バスに接続され,演算対象や即値($imm$)をALUに渡します.また,結果はbusZ経由で目的のレジスタ$rd$に書き込みます.これにより,命令の順次実行とパイプライン処理が効率的に行われます.
命令別の制御信号処理
LUI命令やAUIPC命令など,命令ごとに必要な制御信号は異なります.デコーダはcase文などで命令を分け,それぞれの制御信号を適切に設定します.制御信号はブロッキング代入を用いて上書き可能にしており,命令のスロットやパイプラインの切れ目に応じて信号をアクティブ化します.これにより,EXステージでの実行が正確に行われ,CPU全体の動作安定性を支えます.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- Lチカ入門!ソフトウェア屋のためのHDL事はじめ,ZEPエンジニアリング株式会社.
- Zynqで作るカスタム・コンピュータ・チップ,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]一緒に動かそう!Lチカから始めるFPGA開発【基礎編&実践編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]Xilinx製FPGAで始めるHDL回路設計入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]Zynqで初めてのFPGA×Linux I/O搭載カスタムSoC製作,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]カメラ×ラズパイで一緒に!初めての画像処理プログラミング
- [VOD/KIT] 実習キットで一緒に作る!オープンソースCPU RISC-V入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ARM Cortex-A9&FPGA内蔵SoC Zynqで初体験!オリジナル・プロセッサ開発入門,ZEPエンジニアリング株式会社.