脱教科書設計者が使う定数E24系列
実験キットで学ぶ初歩電子回路設計
E24系列とは
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図1 E24系列は,基本的な抵抗値を24段階に分けて定義したもので,1.0,1.1,1.2から9.1までの数字が2桁の基本値として設定されている.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[講師]善養寺薫(ディスクリテック) 詳細:[VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計 |
抵抗値の選定には,E24系列という規格がよく用いられます.E24系列は,基本的な抵抗値を24段階に分けて定義したもので,1.0,1.1,1.2から9.1までの数字が2桁の基本値として設定されています.
この系列を基準に10倍,100倍などのスケールを掛けることで,広い範囲の抵抗値を得ることができます.E24系列は,日常の電子回路設計においてもっとも一般的に使用される規格です.
回路設計での抵抗値の選び方
必要な抵抗値がE24系列に存在しない場合,近似値を選んで設計するのが基本です.たとえば,50Ωが必要な場合,E24系列では47Ωや51Ωが近い値として選択されます.設計者は安全性や入手性,回路全体のバランスを考慮して,どちらを使うか判断します.
E24系列に属さない抵抗値は販売されていますが,必要なときだけ使用することが望ましいです.回路の安定性や部品管理の観点から,E24系列を中心に選ぶ方が設計効率は高くなります.
複数の抵抗を組み合わせる方法
欲しい抵抗値がE24系列に存在しない場合,複数の抵抗を直列または並列に接続して近似値を作ることが可能です.例として14Ωが必要な場合,E24系列の13Ωと1Ωを直列接続して14Ωを得ることができます.
同様に,18.2Ωが必要な場合,12Ωと6.2Ωを足すことで目的の値を作り出すことが可能です.この方法は現実の回路設計でも用いられ,抵抗値の調整や微調整に活用されます.
実験キットでの確認ポイント
- 欲しい抵抗値の近似:E24系列から近い値を選択できるか
- 複数抵抗の組み合わせ:必要な値が存在しない場合,直列や並列で作れるか
- 回路全体のバランス:選択した抵抗値がほかの回路要素との関係で適切か
- 入手性の確認:選定した抵抗が入手可能であるか
実験キットを活用することで,E24系列に基づいた抵抗選定や近似値の作り方を体感できます.複数の抵抗を組み合わせて目的の値を作る練習を通して,回路設計の感覚を養うことが可能です.
設計者はE24系列の基本概念を理解することで,効率的かつ実践的な抵抗値選定を行えます.回路全体の構成や必要な精度に応じて,適切な系列値を選ぶことが重要です.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.