バイポーラとFETどうやって使いわける?
実験キットで学ぶ初歩電子回路設計
バイポーラとFETの基本特性
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図1 バイポーラ・トランジスタは,ベースに流す電流に応じてコレクタ電流が増幅される.FETはゲートに加える電圧でドレイン-ソース間を制御する.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[講師]善養寺薫(ディスクリテック) 詳細:[VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計 |
電子回路設計において,トランジスタ(バイポーラ型)とFETはそれぞれ異なる特性をもっています.バイポーラはベースに流す電流に応じてコレクタ電流が増幅される特性をもち,アナログ的な電流制御に向いています.FETはゲートに加える電圧でドレイン-ソース間を制御するため,スイッチング用途に優れています.
VOD教材「実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計」の付属キットを用いると,両者の特性を体感的に理解できます.小電流で大電流を制御するバイポーラの増幅原理や,低オン抵抗で高速スイッチング可能なFETの利点を比較できます.
用途に応じた使いわけ
設計目的に応じて,バイポーラとFETを使いわけます.単純なON/OFFスイッチとして使用する場合は,FETが適しています.ゲートに電圧をかけるだけでドレインとソース間の導通を制御でき,オン抵抗が小さい部品が多いため効率的です.アナログ制御を行いたい場合,バイポーラを用いると電流増幅の特性を活かして,モータ速度やランプ明るさなどの連続的な制御が可能です.
DC-DCコンバータやスイッチング回路でも,FETは部品ラインナップが豊富で,高電圧・大電流に対応した製品が揃っています.最近注目のシリコン・カーバイド(SiC)FETも高耐圧・高効率のスイッチング用途向けに分類されます.
実験で確認するポイント
- バイポーラはベース電流の増加でコレクタ電流が増加:電流増幅特性を観測
- FETはゲート電圧でドレイン-ソース間を制御:オン抵抗の小ささやスイッチング速度を確認
- 用途に応じて部品を選定:アナログ制御にはバイポーラ,スイッチ用途にはFET
- 実験キットでの比較測定:設計目的に応じた特性の違いを体感
これらの実験を通じて,回路設計におけるバイポーラとFETの使いわけを理解できます.少量の入力で大電流を制御する増幅や,電圧で高速にスイッチングする特性を把握することで,実務での部品選定や設計判断に役立ちます.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.