トランジスタを動かす電流増幅の実験
実験キットで学ぶ初歩電子回路設計
実験手順とセッティング
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図1 トランジスタの動作によって,ベース電流に応じてコレクタ電流が増幅される.この特性を利用することで,スイッチやアンプを実現できる.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[講師]善養寺薫(ディスクリテック) 詳細:[VOD/KIT/data]実験キットで学ぶ初歩の電子回路設計 |
実験キットを用いて,トランジスタの基本動作である電流増幅を観測します.チャネル1をコレクタ用電流源として設定し,コレクタからエミッタへ電流を流します.チャネル2ではベースからエミッタに少量の電流を流して変化を確認します.これにより,ベース電流に応じたコレクタ電流の増幅特性を学ぶことができます.
実験手順とセッティング
まず,チャネル1を電流源として100mAを設定し,コレクタに接続します.ベース側には初期電流を流さず,電流が流れない状態を確認します.その後,チャネル2を電流源に切り替え,ベースに0から1mAまでの微小電流をスイープさせます.観測対象はコレクタからエミッタに流れる電流です.
- チャネル1を電流源に設定:コレクタに接続
- チャネル2を電流源に設定:ベースからエミッタに流す
- ベース電流を0mAから1mAまでスイープ:コレクタ電流を観測
- 測定データを記録:コレクタ電流とベース電流の関係を確認
観測結果と電流増幅特性
ベース電流に応じてコレクタ電流が増加し,ほぼリニアな関係が得られました.たとえば,ベースに0.1mA流すとコレクタには約30m~40mA流れ,コレクタ電流はベース電流の約300倍に達します.この増幅比はデータシート上ではhFEまたはβとして記載されるパラメータです.
実験結果から,少量のベース電流をコントロールすることで大きなコレクタ電流を制御できることが確認できます.トランジスタはこの特性によりスイッチやアンプとして利用可能です.また,測定データはチャネル設定や接続の違いにより少しのばらつきが見られますが,基本特性の理解には十分です.
実験のポイント
- コレクタ電流はベース電流に比例して増加:電流増幅の基本原理を確認
- 電流源の設定値を制御:トランジスタの安全動作範囲を確認
- 測定グラフで直線性を確認:増幅特性がリニアであることを観察
これらの手順を通じて,トランジスタの初歩的な動作原理と電流増幅特性を安全に学ぶことができます.少ないベース電流で大きなコレクタ電流を制御できる点が,トランジスタの重要な特徴です.
〈著:ZEPマガジン〉参考文献
- [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
- [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.