IC梱包には乾燥剤:リフロ過熱時の水分膨張防止


KiCADで始めるプリント基板設計入門

IC梱包と乾燥剤の役割

図1 表面実装ICはリールやトレイ,銀色のシールド・バッグなどに梱包される.パッケージ内には乾燥剤が同梱され,内部の水分を吸収する.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[提供・著]善養寺 薫
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表面実装ICはリールやトレイ,シールド・バッグなどに梱包されます.銀色のシールド・バッグは湿度を防止するパッケージで,ICの品質維持に重要です.パッケージ内には乾燥剤が同梱され,水分吸収を行います.これによりIC内部に水分が残ることを防ぎ,リフロ時の膨張やパッケージ破損を抑制します.

ヒューミディティ・インジケータの活用

シールド・バッグ内にはヒューミディティ・インジケータ(名刺サイズ程度)が入っています.インジケータは湿度レベルに応じて色が変化し,ICの保管状態を視覚的に確認できます.例えば湿度10%で青,50%でピンクに変色するように設定されており,過剰な湿気の存在を知らせます.この確認により,ICを安全に保管し,実装前に適切な乾燥処理が可能です.

リフロ過熱時の水分膨張防止

IC内部に水分が残ったままリフロ実装を行うと,水蒸気が急激に膨張し,パッケージにひびが入ったり内部構造を破損する恐れがあります. 乾燥剤やヒューミディティ・インジケータを活用することで,リフロ時の水分膨張リスクを低減できます. ICは出荷時に密封された状態で保管されるため,開封後はできるだけ早く実装することが望ましいです.

KiCADでの実装前の注意点

KiCADでプリント基板設計を行う際には,ICパッケージの寸法に基づいてフット・プリントを作成します. 梱包から取り出したICは乾燥状態を確認し,必要に応じてドライオーブンで再乾燥してから実装します. この手順を踏むことで,ICの信頼性を維持し,はんだ付け後の不良を防ぐことが可能です.

  1. 梱包確認:ICがシールド・バッグに入っていることを確認する
  2. 乾燥剤確認:同梱の乾燥剤の有無と状態を確認する
  3. 湿度チェック:ヒューミディティ・インジケータで湿度を確認する
  4. 必要に応じ乾燥:湿度が高い場合はドライオーブンで乾燥処理する
  5. 迅速実装:IC開封後はできるだけ早く基板に実装する
〈著:ZEPマガジン〉

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参考文献

  1. [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD] Before After! ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [Book/PDF]デシベルから始めるプリント基板EMC 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD/KIT]ポケット・スペアナで手軽に!基板と回路のEMCノイズ対策 10の定石,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.