600GOPS!STM32N6マイコンによるエッジAIカメラの開発


Cortex-M55で動かすセキュア・ファームウェア

ハードウェア・セキュリティ機能の活用

図1 Cortex-M55上で動かすファームウェアは,セキュア・ブートとハードウェア・アクセラレータによる暗号化機能を組み合わせて作る.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[著]山田浩之
詳細[VOD] GPU/CPU/量子コンピュータによるサイバーセキュリティ実践プログラミング【セッション1】600GOPS NPU搭載ハイエンド・マイコン``STM32N6''で始めるエッジAIカメラ開発

STM32N6マイコンはCortex-M55コアを搭載し,最大600GOPSの演算性能を活かしたエッジAI処理が可能です.AIカメラでは画像取得から推論までの処理をマイコン単体で行い,低消費電力かつリアルタイム性の高い運用を実現します.FPGAやGPUを使わずとも,軽量ニューラル・ネットワークを組み込むことで,現場での推論が可能です.

Cortex-M55でのセキュア・ファームウェア設計

Cortex-M55上で動作するファームウェアは,セキュア・ブートとハードウェア・アクセラレータによる暗号化機能を組み合わせます.ワンタイム・プログラマブル(OTP)ヒューズに格納された鍵情報を用いることで,外部からの改ざんに強い設計が可能です.ライフサイクル・スキームに従い,開発段階,運用段階のそれぞれでアクセス可能な機能を制御し,安全性を確保します.

ハードウェア・セキュリティ機能の活用

STM32N6には次のようなハードウェア機能が搭載されています.

  1. 鍵情報管理:ハードウェア固有の鍵をOTPに格納し,暗号化や復号に使用する
  2. DPA対策:消費電力解析攻撃に対応するハードウェア・アクセラレータを備える
  3. アクティブ・タンパ:入力信号と出力信号を監視し,不正アクセスや改ざんを検出する
  4. バックアップ電源動作:電源オフ状態でも改ざん検出が可能

ファームウェア開発のポイント

ファームウェア設計では,セキュア・ブートの実装,OTPヒューズ読み出しによる鍵認証,AI推論アルゴリズムの効率化が重要です.NPUを活用した演算負荷分散により,$V_{in}$の画像入力から推論結果出力までを低レイテンシで実現します.センサからのデータ取得,画像前処理,AI推論,通信制御まで一連のフローを統合することで,リアルタイム動作とセキュリティを両立します.

メモリ上には,ユーザ専用の鍵情報をSRAM上に保存でき,バックアップ電源領域に格納することで安全性を向上させます.ソフトウェアからは定期的にステータスを監視し,異常時には警告を生成することで信頼性の高い運用が可能です.

STM32N6マイコンによるエッジAIカメラ開発では,高速演算とセキュア設計を組み合わせることで,現場でのリアルタイムAI推論を安全に行える環境を構築できます.

〈著:ZEPマガジン〉

動画を見る,または記事を読む

参考文献

  1. [VOD/KIT]STM32マイコン&Wi-Fiモジュールで学ぶ C/C++プログラミング入門,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. 実験しながら学ぶフーリエ解析とディジタル信号処理[Vol.1:フーリエ解析の基本「三角関数」の正しい理解]
  3. [VOD]Pythonで学ぶ やりなおし数学塾2【フーリエ解析】