LVDSからJESD204BCまで!高速ADC I/Fの伝送速度


計測のためのA-Dコンバータ実装術

高速ADCのススメ

図1 高速A-Dコンバータを用いれば,ミキシングや波形合成などのRF信号処理もディジタル領域で実行でき,アナログ回路の温度による特性変化や経年劣化を克服できる.画像クリックで動画を見る.または記事を読む.[著]藤森 弘己
詳細[VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点

高精度な信号処理が求められる計測分野において,高速のA-Dコンバータ(ADC)の導入は多くの技術的利点をもたらします.特にアナログ回路に内在する経時変化や温度変動による誤差の影響を抑え,より安定した測定結果を得ることが可能です.

アナログ信号処理の課題と限界

従来の信号処理回路では,ミキサや発振器といった構成要素がアナログ部品で構成されていました.アナログ回路は温度変化や経年劣化により特性が変動するため,精度の確保が困難です. たとえば,RLC部品に由来するばらつきや,フィルタの通過帯域が微妙にずれる現象などが代表例です.いったん調整された値が時間とともに変化するため,長期的な安定動作に課題が生じます.

高速A-Dコンバータ導入の利点

このような問題を解決する手段として,高速ADCによる信号のディジタル化があります.高速に動作するA-DコンバータとD-Aコンバータを用いれば,ミキサ処理や波形合成といった信号操作をすべてディジタル領域で実行できます. ディジタル処理では,演算係数や構成が温度や時間によって変動することは基本的にありません.これにより,安定した動作と信号再現性が保証されます.

実装時の技術的配慮

ディジタル処理化にはいくつかの実装上の注意点があります.高速なA-D/D-Aコンバータを用いる場合,それに見合ったディジタル信号処理能力が必要です.また,ADCとDSP間を接続するインターフェースにも高速伝送が求められます. JESD204などの規格は,このような高速インターフェースの実装に適しています.システム全体での信号整合やタイミング設計も重要です.

  1. 高速ADCは信号の変動を最小限に抑えることができる
  2. ディジタル処理により長期間の安定性が確保できる
  3. アナログ部品の数を削減し,実装密度を高められる
  4. 高速信号処理のための設計負荷が増加する
  5. インターフェース伝送にも高い性能が要求される

動画を見る,または記事を読む

著者紹介

  • 1979年 芝浦工業大学 通信工学科卒業
  • 同年 Analog Devices of Japan Inc に入社(後にアナログ・デバイセズ株式会社)同社にてアナログ・モジュール開発,Mixedシグナル・テスタのテスト・モジュール開発、高速リニア・カスタム集積回路の開発サポート,汎用リニア製品マーケティング等を担当.

著書

  1. OPアンプ増幅回路の2つのゲイン,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD]高速&エラーレス!5G×EV時代のプリント基板&回路設計 100の要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【差動信号とその周辺回路設計技術】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]アナログ・デバイセズの電子回路教室【A-D/D-Aコンバータの使い方】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD]Before After!ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.

参考文献

  1. [VOD]Before After!ハイパフォーマンス基板&回路設計 100の基本【パワエレ・電源・アナログ編】/【IoT・無線・通信編】,ZEPエンジニアリング株式会社.
  2. [VOD]高精度アナログ計測回路&基板設計ノウハウ,ZEPエンジニアリング株式会社.
  3. [VOD]Gbps超 高速伝送基板の設計ノウハウ&評価技術,ZEPエンジニアリング株式会社.
  4. [VOD]事例に学ぶ放熱基板パターン設計 成功への要点,ZEPエンジニアリング株式会社.
  5. [VOD/KIT]GPSクロック・ジッタ・クリーナ,ZEPエンジニアリング株式会社.
  6. [Book]電子回路とプリント基板のノイズ解決 即答200,ZEPエンジニアリング株式会社.