宇宙軌道ロケット 成功の方程式
Mission1 ロケット方程式と最適な燃料
- 著者・講師:稲川 貴大/Takahiro Inagawa,金井 竜一朗/Ryuichiro Kanai
- 主催:DigiKey
- 企画・編集:ZEPエンジニアリング株式会社
1時間で地球を1周するほどの巨大な推力を生み出す燃料
図1 宇宙軌道ロケット 成功の方程式 Mission1 ロケット方程式と最適な燃料 DigiKeyチャンネルにて視聴可能 |
世界中がロケットや人工衛星の開発にしのぎを削る中,米国SpaceX社は,約5000基の通信衛星を打上げて地球低軌道を巡回させ,地球全体をカバーする次世代の通信サービスを開始しました.
また,高精細カメラやエッジ・コンピュータを搭載した衛星を周回させて,人やクルマの動きを捉えてビッグデータ化し,AI利用する未来も間近です.
人工衛星の打上げ頻度が高まり,ロケットの量産技術の確立が急務です.
従来は,1度打ち上げた機体は海の藻屑として沈めていましたが,製造コスト低減のため,ブースタ(1段目の打上げ部)を地上に帰還,着陸させて再使用型の運用が始まりました.
日本でも,宇宙開発に挑戦する企業が続々と誕生しています.
2003年設立の民間企業「インターステラテクノロジズ(IST)」は,全7回の観測ロケット“MOMO”の打上げ実験を経て,人工衛星打上げ用ロケット“ZERO”の開発に取り組んでいます.
本動画シリーズは,IST社にてロケットを開発してきた技術者4名が,ZEROに搭載するターボ・エンジンのメカニズムや推進剤の特性,数千個に及ぶセンサやアクチュエータを司るコンピュータ,暗号を使った地上と機体間の高セキュリティ通信など,語られることの少なかった貴重な技術情報を深堀りし惜しみなく公開します.
Mission1のテーマは「1時間で地球を1周するほどの巨大な推力を生み出す燃料」です.
まず,最も重要なロケットの基本方程式を紹介します.
ロケットの飛行には科学的な計算と理論が必要で,その基盤となるのが「ツォルコフスキーの式」であり,ロケットの性能を評価するために不可欠なものです.
特に,動画では方程式の中の噴出速度に焦点を当てて説明します.噴出速度はロケットの推進剤にもよって変わり,高い噴出速度を実現することが重要です.
ロケットの燃料には複数の種類があり,それぞれ異なるメリットとデメリットが存在します.
近年,メタンを燃料とするロケットが注目されており,ISTの次世代ロケットでもカーボンニュートラルなメタンを利用します.
チャプタ・リスト
- 0:00 ダイジェスト
- 0:35 Mission1 ロケット方程式と最適な燃料
- 1:00 講師紹介
- 1:30 今回のテーマ
- 1:59 インターステラテクノロジズ
- 2:29 MOMOとZERO
- 4:22 小型人工衛星打ち上げロケット
- 4:39 ロケット方程式
- 8:55 熱化学方程式
- 11:49 推進剤の種類
- 17:04 酸化剤
- 18:09 推進剤は密度を上げたい
- 19:24 燃料をどう選ぶか?
- 21:44 密度によるロケットサイズ
- 23:18 世界のメタンエンジン
- 24:11 世界初のメタンロケット
- 25:29 ロケットの燃料を牛から
- 26:00 ロケットの失敗原因
- 26:44 まとめ
- 27:26 次回予告
著者紹介
- インターステラテクノロジズ株式会社 代表取締役社長
- 東京工業大学大学院機械物理工学専攻修了
- 学生時代には人力飛行機やハイブリッドロケットの設計・製造を行なう.修士卒業後,インターステラテクノロジズへ入社.2014年より現職.経営と同時に技術者としてロケット開発のシステム設計なども行なう.「誰もが宇宙に手が届く未来を」実現するために小型ロケットの開発を実行.日本においては民間企業開発として初めての宇宙へ到達する観測ロケットMOMOの打ち上げを行った.また,同時に超小型衛星用ロケットZEROの開発を行なっている.高校時代は木工でインターハイ出場したり,大学時代は金属加工やFRP成型,電子工作などを趣味で行っていた.今でもDIY全般が趣味
著書
- 宇宙ロケット開発入門,トランジスタ技術SPECIAL No.155,CQ出版社
参考文献
- 宇宙軌道ロケット 成功の方程式,DigiKeyチャンネル.
- [DigiKeyチャンネル]宇宙ロケットの電子回路開発,DigiKeyチャンネル.